入り口の畑(2024年2月18日開催)


 「畑の読書会」をご存知ですか。

 お客さまから初めて話を聞いたとき、ちょっと何を言っているのかすぐには理解できませんでした。場所は奈良市の某所。ならまちを見渡せる畑にて本を楽しむ読書会で、毎回違うテーマを設定し、持ち寄りや課題本形式で実施しているとのことでした。特にSNSアカウントやサイトなども開設しておらず、情報はネット上にない。けれども毎回お客さんは集まっていて、しかもそのとき聞いた課題本はシェイクスピアの戯曲だったものですから、『いったいどんな骨太な読書会なんだ!』と内心大パニックでした。昨年末、その読書会がついに1周年を迎えたとのこと。参った!どういうことか、もっと詳しく聞かせてください!

 その読書会を運営されているのは、以前、イベント「本屋で読者が本を売る」でも名解説をしてくださった宇戸谷航輔さん。そして、その珍しいアイデアを引き受けている「畑」を提供しているのが福島明子さんです。そもそもの始まりは、2022年10月。当店もお世話になった「奈良ひとまち大学」で福島さんの授業に宇戸谷さんが参加したことがきっかけでした。コミュニティナースという人を繋ぐ地域活動も行う福島さんは、畑は作物を育てるだけじゃもったいない。それ以外の使い道もあるはず、と授業の中で言われたそうです。その言葉を聞いて「読書会でもやりますか?」と呟いた宇戸谷さん。「やりましょう」と福島さん。このフットワークの軽さ!おふたりの軽妙なやり取りが目に浮かぶようです。(福島さんの授業の紹介ページ:「私、百姓コミュニティナースです」

 今回のイベントでは、1周年を迎えた「畑の読書会」の話を素材にしながら、日常生活を豊かにしていく「入り口」の探し方、育て方について、福島さん、宇戸谷さんと一緒におしゃべりしてみたいと思っています。あわよくば、新しい未来のタネが畑にまかれるきっかけになることも願って。

1年間畑で読書会をしてきて思うことは、畑は流動的な場所だということです。
季節の移り変わりというような大きな話だけでなく、
大陽の動き、風の音、土と草の手触り、
同じものは一つとしてなく、あらゆるものが移り変わっていくことを感じます。
ただそれは、畑だけの特権ではないはずです。
人は社会において、固定的な何者であるか、を求められますが、
それだってもっと流動的なんだ、ということを、
畑で読書会を行うことで実感していきたいと考えています。


〜宇戸谷航輔〜

   入り口の畑
   2月18日(日)10時〜12時 (開場 9:50ころ)
   参加費:1,500円

   お申し込み・お問合せ:hon.iriguchi@gmail.com

福島 明子 (ふくしま あきこ)

神奈川県で育ち、看護師の仕事がしんどくなった時に土に触れて元気になった。今は奈良で夕日が綺麗にみえる農地をかりて土とコミュニティを耕作中。

奈良ひとまち大学での福島さんの授業のレポート:作物と人が育つところ

宇戸谷 航輔 (うとたに こうすけ)

兵庫で生まれ育ち、大学は尾道へ、その後色々あって奈良に流れ着いた一般労働者。本を読んで暮らしている。生活の一部で本屋を行う「半分本屋半分X」の野望を密かに抱く。今回の試みはその一環。


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